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沫雪の唄

「なんて素敵にジャパネスク」二次小説

「長恨歌」第二十五話 弾正尹・藤原融

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拍手御礼小説掲載
藤宮様のお話を伺ってからというもの、あちこちに人をやり条件に合う姫を探させている。秋篠権大納言様からもお話を聞いて、阿闍梨殿にも会いに行った。中務省にも話を聞きに行ったが昔在籍していた男ならば熱心に研究していたからわかるかもしれないということだったが残念ながら十年以上も前に辞めたきり行方知れずだということで話を聞くことはできなかった。姉さんの生まれ変わりの姫については秋篠権大納言様の方でも同様に探してくださっているが、大納言様の提案で主上には報告していない。藤宮様のおっしゃった通り、期待をさせて見つけられなかった時の落胆を、避けたいのだ。

京に住む姫君達に違和感を感じる噂をもつ姫はおらず、やはり女房かそれ以下の身分に生まれているのかもしれないと捜索の手を広げていたその矢先だった。

この都に、おかしな主従関係の姫君と女房がいるという話を耳にした。










「長恨歌」第二十五話 弾正尹・藤原融










以前に調べさせた時には特におかしな点はみられなかった姫君だった。左大弁家の、二の姫。年は十五の、いずれ東宮様の後宮にと婚期を遅らせている姫君だ。東宮妃にするために世間から秘されている姫君だから、多くはわからなかったがそれでも大人しく慎ましい姫君であるということだった。それが、ここひと月の間に、

すっかり変わったというのだ―――。

「どういうことだ…?左大弁家の二の姫が姉さんなのか?」

ひと月前といえば、二の姫は高熱に倒れ生死の境を彷徨ったと聞く。なんとか回復したらしいが、目覚めて以降、人が変わったようになったと。
もちろんそんなことは世間には知られていない。左大弁家としても必死になって隠すだろう。何せ、二の姫は東宮様にと大事にしているのだから。だからそれがわかったのは、僕がどんな違和感も見落とさぬように慎重に調べさせているからだ。
さらに詳しく調べるために僕は女房を一人、左大弁家に送り込んだ。僕の紹介状を持たせたのだから雇われないはずがない。できれば二の姫付きの女房に雇われればよかったのだがさすがに左大弁も慎重になっているようで、女房は二の姫ではなく一の姫付きの女房として雇われた。

同じ邸に住んでいる姉妹といっても顔を合わせることなど滅多にないのが普通のことで、僕と姉さんの関係の方がおかしかったのは理解しているが、一の姫が二の姫と会うことはなく、送り込んだ女房は周到に知人を作り、疑われないよう注意を図りつつ二の姫についての噂を集めた。積極的に邸内を動き回る用事を買って出ては二の姫の暮らす局に近づいたりもしたようだ。

「厳しい緘口令が敷かれているようで二の姫様についてのことはそれ以上聞き出せませんでしたが、二の姫様らしき姫君と女房の会話を盗み聞くことができました」

左大弁家を抜け出し報告に戻って来た女房の話によれば、
それは思いもよらぬ偶然だったという。

「まさか、左大弁家の姫君ともあろう御方が夜中に部屋を抜け出しているなど…驚きました」

女房は昼間はほとんど近づくことのできない二の姫の周囲を探るべく、夜半庭に降り二の姫の殿舎の方へ歩いていたのだという。そして人の気配を感じて隠れたところ、二の姫らしき姫と女房の話声が聞こえてきたと。

「どこかへ行こうとする二の姫様を女房が必死に止めているようでした。ですが……」

妙なのです、と。
女房は首をかしげる。

「覗き見ましたところ、姿格好から間違いなく二の姫様だろうと思われる方が、女房装束の女に懇願しているのです。それも、『危のうございます、姫様っっ』と…まるで自分の方が女房のように、相手を姫様と呼んで……。」

「……衣装を取り換えているのでは?」

「いえ、二の姫様は十五。女房装束の女はそれより年上に見えました。翌日調べてみたのですが、確かに二の姫様は十五で、幼い顔立ちもわたくしが見た顔で間違いないように思いました。そして……二の姫様付きの女房に十七の者がおります。わたくしが見たのはその女房なのではないかと。」

自分付きの女房を姫様と呼ぶ二の姫と、姫様と呼ばれる女房…?
どういうことだろうか。

「…わかった。引き続き、調べてくれ」

「かしこまりました」

女房を左大弁家に戻し、
今聞いた報告を考える。

左大弁家の二の姫に姫様と呼ばれる女房とは何者なのか?
二の姫は何故、女房を姫様と呼ぶのか…。
姉さんの転生と関係があるのだろうか?
わからないが、他に手がかりがない以上、その二人を調べた方がいいだろう。

「その、女房の方が姉さんだとして……」

二の姫がわからない。

「逆に二の姫が姉さんなら女房は誰だ?」

姉さんは姉さんとしての記憶があるのだろうか?阿闍梨殿はとうに記憶を取り戻しているかもしれないとおっしゃっていたが。
いや、待てよ。
報告をした女房は始めに何と言っていた?

『どこかへ行こうとする二の姫様を女房が必死に止めているようでした』

と言っていた。
夜中に庭先に出ているのもおかしければ、外へ行こうとするなんてあの姉さんでなければ誰がする?
"普通"の姫君なら、女人なら。絶対にそんなことはしないはずだ!

「姉さんなのか…?」

どちらが?
急に人が変わったように大人びたという二の姫?
その二の姫に姫様と呼ばれている女房?

姉さんが死んだのは十八年前。死んだ時、姉さんは二十代半ばだった。その記憶と人格が蘇ったと考えれば、二の姫が急に大人びて別人のようになったという話も納得できる。
ならば二の姫が姉さんの生まれ変わりなのだろうか?

でも…

女房の方も気になる。
どうしてか、女房の方が姉さんな気がして仕方なかった。
そして気づく。


二の姫は十五で女房は十七…―――!!


「年齢だけじゃない、どこかへ行こうとしていたのが女房の方なら、姉さんは女房の方だ!!」


居ても立っても居られず、


僕はすぐに左大弁家に行くため使いを出した。





続く


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雪 says..."ふにゃろば様"
融ですよ!
十八年経って彼も大人になり成長しております!
というか、瑠璃が殺された事件のせいでがらりと人が変わったということなのかもしれません。
現在の融は、あの頃のぼんやりくんではないのですよ~。
藤宮との会話でもちらりと書いてますが!

姉弟の再会が迫っております!
お楽しみに!(^^)!
2018.06.10 00:32 | URL | #- [編集]
雪 says..."ハニー様"
はい、物語が加速してきた感じですかね!?二人目の、前世の関係者との再会になるかもしれません!
物語としてもやっとこさ、転生ものな雰囲気が出てきた感じでしょうかねえ。ここまでひっぱりにひっぱって長引かせててすみません…。
わざと長引かせているのではなく、あれこれ書きたいエピソードがあってこんなことに…。

鷹男との再会は無事できるのか?!気づいてくれるのか!?
ハッピーエンド目指して頑張ります(^O^)/
2018.06.10 00:29 | URL | #- [編集]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018.06.09 22:59 | | # [編集]
ハニー says...""
更新ありがとうございます。

おおー!
どんどん動いてきましたね。
ますますワクワクしてきました!
瑠璃姫が転生しても声が同じって言うのは
今後の展開にも大いに影響ありそうですね。
鷹男がこの声を聞いた時の反応がない楽しみ!
融はすぐに瑠璃姫に会えるのかな?
会って声を聞けばすぐにわかるよね!
融!がんばれ!!
2018.06.08 06:21 | URL | #- [編集]

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