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沫雪の唄

「なんて素敵にジャパネスク」二次小説

「長恨歌」第二十七話 左大弁家二の姫付女房・透子(瑠璃)

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何故、記憶を持って生まれ変わったのか
何故、再びあの場所へ戻る道を歩んでいるのか

少しだけ、わかった気がした。










「長恨歌」第二十七話 左大弁家二の姫付女房・透子(瑠璃)










互いに記憶を取り戻した状況でさらに前世の知り合いに会ったのだから
あっという間に前世の関係に戻ってしまった。

「瑠璃姫様」
「小萩」

と呼び名まで戻ってしまう。くれぐれも二人きりの時にだけ、誰にも聞かれないようにと気をつけるようにはしているけれど
小萩と話せば話すほど、行動や性格まで昔に、瑠璃姫に戻っていく。

小萩が死んだのは、あたしが死んで二年後のことだったらしい。

「嫉妬……だったと…聞いております…」

殺された理由を尋ねると、
言いにくそうに教えてくれた。

「主上の寵愛の深い瑠璃姫様に嫉妬しての犯行であったと…」

「嫉妬…」

そんなことで……

そんなことであたしは殺されたの…?

「………殺すつもりはなかった、と……言っていたそうですが……」

じゃあどうして?

殺すつもりでなくてもあたしは殺されたというの?

どうして?

どうしてそんなことで殺されなければならなかったの…!!

どうして……っっ!!!

「姫様…っ」

完全に心が瑠璃姫に戻る。
痛くて痛くて。
悔しくて苦しくて。

あたしは蹲り、嗚咽した。

「姫様…姫様…っっ申し訳ありません、わたくしが……!わたくしが気づかなかったばかりに…っっ」

毎日の膳に少量ずつ混入されていた毒によって、
あたしは体調を崩し、死んでしまったのだと。

涙の止まらないあたしの背をさすり、小萩も泣いていた。

小萩のせいじゃない。だけど、疎かったのだ。あたし達は。
身分のせいもある。そういうものと無関係に過ごしてきたせいでもある。
女同士の争いや、嫉妬というものを、知ってはいてもどこか自分とは関係のない遠い世界の話のようにさえ感じていた。
数多の女達が帝の寵を競う後宮に身を置きながらも公子姫様とも上手くやっていたから殺されるまで気づかず、無防備だったのだ。

殺されかけたことは何度もある。
でもどれもこれも、あたしが事件に首を突っ込んだ挙句のことで、自業自得でもあった。

「……ごめんね、小萩…」

泣くのをやめて、そっと小萩の頬に手をあてる。

「きっとあたしが死んだせいで…たくさん自分を責めたのね…」

今の小萩の表情を見てもわかる。
あたしが死んだことを、守れなかったことを、小萩がきっと後悔して後悔して、苦しんできたのだろう。

「瑠璃っ姫、様……っ、、」

「小萩のせいじゃないわ…」

抱き合って、しばらくの間あたし達は泣き続けた。
正直に言えばあたしを殺した犯人が憎いし悔しいし辛い。
でも、犯人はすでに処刑されたというし、もうぶつける先のないこの怒りに囚われれば小萩を苦しみから解放してあげることができない。
瑠璃姫としては死んでしまったけれど透子になって生きなおしている。もう一度人生を、生きれている。
転んでもただでは起きない、あまりにあたしらしくて笑えるじゃない。

「ごめんね、先に逝ってしまって…」

辛い想いをさせてごめん。
哀しい想いをさせてごめん。

きっと、先に逝くよりも後に遺された方がずっとずっと、辛い。

「姫様…っっ」

小萩はわかってる。
それを言いたい相手は、小萩だけじゃないことを。
一番伝えたい相手がいることを、気づかないはずがない。

謝りたい相手はたくさんいる。

瑠璃姫を慈しんでくれた皆に、心の底から謝りたい。
そしてできれば、伝えたい。
もう哀しまないでと。あたしは……あたしはもう一度、生きなおしてるからって。

「……教えて、小萩…あたしが死んでから……一体何があったの…?」

鷹男が心を失くしてしまったのはあたしのせいなの?

「あたしは……自分が死ぬ前のことを…覚えていないの。」

だから教えて、小萩。
あたしが死んでから、ううん、あたしが死ぬ前から小萩が死ぬまでの二年間のことを。

鷹男や父様の様子を。

あたしがいなくなった後の、後宮のことを。

「姫様……」

「小萩………鷹男は今も、…………あたしを想ってくれているかなぁ……?」

笑ったつもりで投げかけた問いは


涙で震えて上手く紡げなかった。





続く


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雪 says..."ふにゃろば様"
そうなんですよね~
瑠璃ってそういう女特有のどろどろした感情とは無縁なところがあるから…
サバサバしててどちらかといえば男に近いんでしょうね。なので、女達の複雑な感情、嫉妬というものがいまいちピントきてなくてそういうものがあると理解はしていても自分には関係ない世界の話のように感じていたふしがあるんじゃないかと思います。

権力ででも押さえつけて支配していれば起きなかったのかもしれませんが瑠璃ならしていないだろうな。
2018.06.17 22:29 | URL | #- [編集]
雪 says..."ハニー様"
まだまだ完結の目途がついていない長編ですので、完結まで待っていたらいつになるかわかりませんよ( *´艸`)?
私としてはじれじれしつつ毎回更新のたびに読んでもらえるほうが嬉しいです(^^♪
コンスタントに更新していきますのでお待たせする日数はそんなにないですし!

今話はお話の展開はほとんどなくて申し訳ないなと思ったのですがそれでも二人の心情のあれこれは必要だし入れたいシーンでもありました。

さて次話、も、進展はないですが…前へ進むためのお話になっております!
2018.06.16 07:58 | URL | #- [編集]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018.06.16 01:47 | | # [編集]
ハニー says...""
更新ありがとうございました。
二人が抱き合って涙する姿が目に浮かぶようです。
切ないシーンですねー。
でもここから!ですね!!

読むほどに先が気になって待ちきれなくて
やっぱり完結まで読むのを我慢すれば良かったと
毎日のように思ってしまいます。
もう、本当に更新が楽しみで待ち遠しくて。
続きもまた楽しみにしていますね!
2018.06.13 22:52 | URL | #- [編集]

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