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沫雪の唄

「なんて素敵にジャパネスク」二次小説

「長恨歌」第四十八話 左大弁家二の姫付女房・透子(瑠璃)

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拍手御礼小説掲載
「まあ…そんなことが?」

「全くあの二人どうかしてるわ。」

特に守弥!
求婚だなんてどうして急にそんな嘘を!一体いつそんな話をしてたっていうのよ!

「それはまた…災難でしたねと言うべきかよかったですねというべきか……」

「どう考えたって災難でしょう!」

まるであたしが二人ともと付き合ってた酷い女みたいだったのよ?!一人とだってつきあってないのに酷い濡れ衣だわ!

「ですがおもてになるのはいいことではないですか」

頬に手を当てて
小萩が苦笑する。

「右近少将様はともかく守弥は違うから!」

右近少将様だって、どうしてあたしに言い寄るのかご自分でもよくわかってらっしゃらないようなのに。
あんなので喜べっていう方が無理だわ。

二人を振り切って、駆け込むように二の姫の殿舎に戻って来たあたしを
小萩は不思議そうに見つめた後あたしの話を聞くと、
人事だからなのかそんな見当違いの感想を述べたのだった。

「あの守弥が、でございますか……変われば変わるものなのでございますねぇ」

「何を感心してるのよ!」

「いえ。ただ当時からお二人とも鈍感でしたけれど、さすがに十八年も経てば守弥の方は成長したのかと。姫様の方は……相変わらずですわね。」

「だからどういう意味よ!!」










「長恨歌」第四十八話 左大弁家二の姫付女房・透子(瑠璃)










「それはそうとして、尼寺ではどなたにお会いしてきたのですか?瑠璃姫様に会いたいとおっしゃっていたのは」

「ああ、秋篠権大納言様…昔の秋篠権中将様だったわ。」

小萩が首をかしげる。

「交流がありましたか?」

「覚えてない?昔、あたしが吉野で静養してた時に帝の御文遣いとしてきたことがあるわ。」

小萩が記憶を探るように遠い目をして、

「確かに…そのような御方だったかもしれません。」

「入内した後も何度かはお話したことはあったわ。」

それからようやく思い出した、といった風に頷いた。

「思い出しましたわ。あの中将様でございますか。…ですが、瑠璃姫様に何の御用で?」

「ああ、そっか。小萩には話してなかったわね。そもそも最初にあたしが生まれ変わってる可能性に気づいて探そうしてくださったのは秋篠様だったらしいのよ。だから今のあたしのことも知ってるってわけ。」

「まあ!そうでございましたか!」

「特に親しくしてたわけでもないのに有難いわよね。きちんとお礼を言っておいたわ。」

…秋篠様の本当の目的は、鷹男の言葉を伝えることの方だったのだろうけど。
小萩に話すために口にしてしまえば鷹男が今のあたしを拒否しているということを認めることになってしまいそうで、それは嫌で、
なんとなく、
誤魔化して言うことをしなかった。
二の姫の入内を待たずに後宮に乗り込むと決めたのだから例え今話さなくても、数日中には小萩にも言わなければならないだろう。そのほんの数日の先送りで、痛む心を抑え込み現実を受け入れる心の準備をしないといけない。

「では後は主上からのお召しを待つばかりですわね。きっとすぐですわ。」

そんな風に、
本当に心から安堵したような笑顔で微笑む小萩に
気づかれないようにあたしも笑顔を返した。

「それより先に父様に会わなくちゃ。」

努めて明るく、不自然にならないように話題を変えて。

「そうでしたわね。内大臣様にはわたくしもお会いさせていただきたいですわ。」

「三条に行くのはなんとか小萩も行けるように方法を考えましょう。」

今は左大弁家の姫になっている入内を控えた小萩の外出は容易ではない。でも融と藤宮様に相談すれば何とかなるはず。
小萩だって童の頃からうちで暮らしていたんだもの。あたしが死んだ後も、最後の時は三条邸で迎えたと言うし、会いたい気持ちもあって当然だろう。父様だっても今も小萩があたしの傍にいてくれていると知ればきっと安心してくれるわ。

煌姫に融への伝言はお願いしたし、数日の間には融から連絡がくる。父様の体調を見てからにもなるけれど、早ければ連絡と一緒に迎えの牛車も来るかもしれない。父様への説明もあるしそんなに早くはいかないかしら?
でも、

一日も早く会いたい。

会うと決めてしまえばもう、会いたくてたまらなくなる。

「………ねえ小萩」

そんな気持ちに影を差す、
秋篠様から聞いた話が頭をよぎる。

「弓削是雄って……覚えてる?」

もう過去の話だ。
とっくに終わった事件。
今のあたし達には関係がないこと。

だけど、

助けたと思っていた相手に殺したいほど憎まれていたなんて


あたしは何を間違えていたんだろう?


「弓削、是雄…ですか?」

「そう。知らないわよね…」

たった数度だ。
会ったのも話をしたのも、回数にしてみれば三度程度。女房に変装していた時に会ったのだから小萩だって知るはずがない。あたし自身、名前は知らないままだったのだもの。

一度目は助けたつもりだった。二度目も三度目も挨拶程度の会話しかなかった。言われてみてようやく思い出せる程度の関わりしかなかった。

それなのに、

秋篠様の話ではあたしに毒を盛るよう仕組んだ犯人だったと。

だけどそんなことをされる理由がわからないのだ。
自覚がないだけで、無意識に相手を傷つけてしまったのだろうか?殺そうと思うほど、憎まれるようなことを…。
考えても考えてもわからなかった。
それでも瑠璃姫だったあたしは殺された。
助けたはずの相手に。

どうして………

「弓削…ええ、覚えておりますわ。陰陽師ですわよね。」

「知ってるの?!」

なのに小萩から予想もしない返答が返って来て

「ええ。綺麗な顔をしてあちこちの女房を泣かせていた男ですわ。姫様はご存じないでしょうけど。」

あたしはまた、


知らなかった事実を知ることになったのだった。





続く


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雪 says..."ふにゃろば様"
さて答え(瑠璃姫殺害の動機)はなんでしょう??
答えが明かされるのはまだまだ先ですがじわじわとヒントは出していきますよ!
わかる人にはとっくにわかってるかも?!
2018.09.11 00:50 | URL | #- [編集]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018.09.08 00:52 | | # [編集]

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